こだわり。
2013/09/12 | ||
国際宇宙ステーションに物資を運んだ日本の無人補給機「こうのとり4号」が、太平洋上で大気圏に突入して燃え尽き、予定の任務を終えたとJAXA(宇宙航空研究開発機構)が発表した。
小惑星探査機「はやぶさ」が、行方不明になったり、燃料漏れなどによる故障のため満身創痍の状態でボロボロになりながら帰還した姿が感動を呼んだことが思い出される。
燃え尽き、ボロボロになって任務を終えるなんて、男のロマンをくすぐられる。 「ワイルドな魅力と破滅の美学」で人気を集めた「あしたのジョー」は、何度見てもカッコいい。
「好きなのよ矢吹君。私のためにリングに上がらないで!」 白木財閥の令嬢・白木葉子のこの言葉を振り切り、矢吹丈は、「世界一の男がオレを待ってるんだ」と自らの死を覚悟しリングに上がる。
そして、まっ白な灰になり燃え尽きる―。
まあ、フツー、こうはならんでしょ。 財閥の美しい令嬢にそこまで言われれば、私でなくても、大半の人はリングに上がるのを止めるのではないだろうか。
阪神タイガースひと筋22年。桧山選手が今シーズン限りでの引退を発表した。 44才である。体力、気力の限界か。よくがんばってくれた。 ところが違う。
桧山選手は試合前にシートノックを受けてからバッティング練習をするのが常らしいが、この夏は、初めて夏バテを経験し、シートノックを回避することがあり、そういう自分が許せなかった、だから、引き際と判断し引退するという。
つまり、まっ白に燃え尽きてはいないが、 アスリートとしてのこだわりを優先させた。
凡人の私などは、「まだできるのに、もったいない」。すぐにこう思ってしまうが、このこだわりがあるからこそ、第一線で22年もやってこられたのだと思う。
ボロボロになるまで燃え尽きるか、美しいまま身を引くか。 惰性では答えは見つからないだろう。
こだわって生きていきたい。
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林 正寛 | ||