大人の夢を壊してはいけない。
2013/04/11 | ||
2年前の東日本大震災の津波で流され、米西部ワシントン州に漂着した日本の漁船内で5匹の魚「イシダイ」が元気に生きているのが見つかった。
イシダイは全長約6メートルの漁船船尾にあるタンク内で見つかったもので、手の平ほどの大きさ。日本、中国や朝鮮半島近海の暖流海域に特有な種とされている。
イシダイはともかく、一般的な魚の頑健さは知られているが、なんといっても、日本とワシントン州との距離約8,000キロである。 その間、幾多の嵐に耐えてきたことだろうか。
本人たちも生き延びたことにさぞ大喜びであろうと思いきや、1匹がオレゴン州の水族館に引き取られ一般公開される以外は、オレゴン州立大学に贈られ、研究者が解剖してイシダイの年齢やエサの種類などを調べるという。
それを調べて何かの役に立つのだろうか。せっかく困難を乗り越え、2年もかけて8,000キロを辿り着いたというのに、少し酷すぎやしないか。イシダイは、さぞ無念だったに違いない。
なんでも解明、解明はよろしくないと思う。 国際電気通信基礎技術研究所が、こともあろうに、寝ているときの夢に現れた物を言い当てる実験に成功したらしい。 一人当たり200回以上の夢を分析し、現状は目を覚ます直前の夢で見たものを判定できる段階のようだ。
こんな恐ろしい研究をして、一体なんの役に立つのだろうか。 夢が解明されると思うとゾッとする。 どうせこの世は「泡沫夢幻」だ。この年になるまでに、いったいどれくらいの夢が泡と消えたことか。せめて夢の中でくらい密かな夢を楽しみたい。
「宇宙の神秘」、「太古のロマン」でいいではないか。 謎は謎のままがいいことだってあるし、こっちにだって都合はある。
大人の夢を壊してはいけない。
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林 正寛 | ||