安けりゃいいか。
2013/08/01 | ||
格安航空会社(LCC)が苦戦をしている。 国内の航空旅客輸送に占めるLCCの割合はわずかに3%にとどまり、欧米の2~3割には程遠い。 先頭を切って就航したピーチ・アビエーションは、昨年度の平均利用率が7.8%なのでかなり検討しているといえるが、他の2社は低迷が続いている。 昨年は、片道運賃1円キャンペーンなどが話題を呼んだLCCであるが、安さだけではシェアは奪えなかった。
私は当たり前だと思う。物には正当な値段があるからだ。 デフレの影響だろうか。物の真の価値と、その価値に対する正当な評価である値段が分かりにくくなってきた。
安さには理由がある。安くて高品質で満足なものなどまずあり得ない。どこか、何かを我慢しなければならない。 そして、安く手に入れると使う側も物を大切に扱わなくなってしまい、「安物買いの銭失い」へと発展していく。
食べ盛りの若い人ができるだけ安くたくさんの量を食べたい気持ちはわかるし、そういう姿はかえって好感が持てたりするが、いい大人が安いからと言って、ガツガツとお皿を積み上げるのは如何なものか。
「安かろう悪かろう」にすっかり慣れてしまい、格安競争の中で人間の品質まで落ちてしまってはいないだろうか。
得した、損したなどと言ってるうちはまだかわいい。 関越自動車道での高速バスの事故で多くの若者が亡くなったのは記憶に新しいところである。彼らは格安競争が激化したバスツアーの犠牲になったといえる。
LCCが安くしさえすれば客を確保できると思っていたとすれば、いかにも浅はかである。 わずか3%のシェアは、人の命を乗せて運ぶサービスに対する客側からの「安過ぎる」という正当な答えではないだろうか。
安けりゃいいというわけではない。
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林 正寛 | ||