神様、仏様。

神様、仏様。

  2013/08/09  
     
 

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大学1年生の長女が珍しく熱を出して寝込んだ。

夏休み前、大学での初めての試験が終わったあくる日である。随分と気合が入っていて寝不足も続いていたので、ホッとして疲れが出たのかもしれない。

 

熱は39度あったが日曜日だったので、何年かぶりで休日・夜間診療所に連れて行った。

思えば長女が幼い頃、何度この休日・夜間診療所を訪れたことか。

熱が下がらず不安な夜を幾度過ごしたことか。

 

子供はどういうわけか、週末の夕方以降に発熱することが多い。

言葉を発し、痛い、寒い、熱い、痒いがある程度言えるようになればまだしも、乳児の頃は、ただただ様子がわからず、泣き止まない我が子を見守るしかない。

おまけに「夜」という空間が、やたらと不安を増大させてくれる。

朝方、熱が下がり、夕方、再び熱が上がるという一喜一憂を何日か繰り返し、ようやく回復にたどり着くと、心底嬉しかった。

 

子供が病気になると、普段は神も仏もないくせに、

「神様、仏様、なにとぞ早くこの子の病気を治してください。私が代わりになります」とはじまる。

「この子が健康でさえあれば、他になにも望みません」

子どもの健康と引き換えについ、神と仏にすべてを捧げる約束までしてしまう。

 

だから、子供が元気になると多少気まずくはあるが、この20年、神と仏はどうにか約束をチャラにしてくれている(この「チャラ」っていう言葉の響きがイイよな。誰が考えたんだろう…)

 

長女は知らない。

大学1年生になっても変わらず、父が神と仏に回復を祈っていたことを。

 

 

― 今回もチャラにしてくれるだろうか…。

 

 
  林 正寛  
     
     

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