キリマンジャロ。
2013/08/26 | ||
打ち合わせの後、時間があったので、一人、ホテルのロビーラウンジに入った。 休憩したかったのもあるが、それよりも打ち合わせの内容をすぐにパソコンに打ち込んでおきたかったから。
キリマンを注文した後、しばらくして、「しまった」と気が付いたが遅かった。 いつも行く天神橋筋商店街の喫茶店の日替わりコーヒーと同じものを注文してしまったからである(日替わりなのに、その店は何故か毎日「キリマン」)
お姉さんが最高の笑みを浮かべながらキリマンと共に置いていった伝票を見ると、天神橋筋商店街の380円のビーフカレーが軽く4杯は食える。
やるせない気持ちになるところを、あのお姉さんの給料の一部になるんだったら仕方がないかと、自分を慰めた。
運ばれてきたキリマンは、いつものキリマンとえらく違う。 気品に満ちた色と香り。カップも品がある。
― いつも飲んでるのはキリマンだろうか???
それにしても、ホテルのロビーラウンジでキリマンを飲みながらパソコンを打っていると、自分がとても優秀なビジネスマンのように思えてしまうからオモシロイ。
たぶん、周りにいる人には、オジサンがコーヒーを勿体なさそうにすすりながら背中丸めて慣れないパソコンをしているぐらいにしか見えないと思うけど、本人は、気分上々である。
しかも不思議なことに、いつもよりスムースに文章が頭に浮かび、実にスルスルと仕事がススムではないか。
商品やサービスに「物語性」を持たせることで消費者の関心を惹き、高い値付けや継続的な取引関係を可能にするマーケティング手法のことを「物語マーケティング」という。
この私の場合は、私自身がシチュエーションをドラマチック(?)に演出し、自らに付加価値を生ませ、その相乗効果として仕事が捗ったと分析する。
あくる日、「おばちゃん、これ、ホンマにキリマン?」
「キリマンジャロに決まってるじゃろ!ぎゃはははは~。天満宮に誓います。それにうちのはカップに満タン入っとるやろ」
いや、確認した私がバカだったか。誓われた天満宮の神様も迷惑だろう。
でも、残念ながら、ホテルよりこっちの方が落ち着くわ。 仕事にはならないけど。
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林 正寛 | ||