あの夏の日。
2013/08/24 | ||
中学時代の同級生がメールで、「まだまだ暑いけど、なんとなく夏のピークが過ぎていく感じで寂しい」ときた。
グランドから球児たちが去り、アルプススタンドには忘れられたメガホンが一つ。 気がつけば蝉の鳴き声も絶え、あんなに賑やかだった海の家もガラーンとしてどこか物悲しい。 君との出会いは、遠い夏の日のまぼろしか…。
若い頃はなんでも「詩」にしていたものだが、年を重ねるとそういった感受性が衰えてしまう。 夏が終われば秋であり、秋が終われば冬が来るだけのことである。
秋はとにかく食べて、夏に消費したスタミナを回復させ、冬への備えをしなければならない。 熊みたいなもんだ。
人生80年として季節に例えると、 1才~20才が春、21才~40才が夏、41才~60才は秋、61才~80才は冬、となる。 季節感の無い人や季節がずれている人もいるだろうが、概ね、こうだろう。
そうすると、もうすぐ50才の私は秋まっただ中。間もなく晩秋へと向かう。人生そのものが同級生の言葉を借りると「寂しい」ポジションにきているわけである。
また、人生の秋は健康面で不安を抱えだす頃でもあり、そこにつけこんだ高額な健康食品やサプリ、ダイエット食品のワナに引っ掛かるのが多いのもこの年代である。
国民生活センターに寄せられる健康食品による健康被害は1年で500件を超える。粗悪な商品を買ってしまい、健康食品で不健康になるという笑えない事態に陥ることだってある。
中にはサプリがやめられなくなり、毎日300錠、購入費は月に10万円超の強者もいるが、過剰摂取は当然、カラダに有害である。
健康や老化そのものに対する不安が強くなる人生の「秋」は、「夏」の頃を思い出し、つい、ため息の一つも出てしまうが、「せっかくここまでがんばってきたのに」などと力まずに、季節を楽しむように自然体で過ごしたい。
来たるべく「冬」に備えて。
あの夏の日は、もはや「まぼろし」なのだから…。
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林 正寛 | ||