タイム・フライズ。

タイム・フライズ。

  2014/08/18  
     
 

テレビでプロ野球中継を見ていたら、アナウンサーと解説者が10年前の先発メンバーはどんな顔ぶれだったのかという話で盛り上がっていた。

 

興味があったのでネットで調べてみると(こんなことも検索すれば出てくるのだから、ネットの情報はホント、すごい)、現在とはほとんどのメンバーが入れ替わっていて、大半がすでに現役を引退していた。

 

プロ野球選手が現役でいられる期間は、昔に比べると長くはなっているが、それでも10年間、変わらず活躍できる選手は少ないし、40才を過ぎても現役でいる選手は数えるほどしかいない。

 

たかが10年、されど10年か。

 

 

 

今年の墓掃除は、予想以上に育った雑草と冬の間に積み重なった落ち葉の強い抵抗に遭い、難渋した。

 

アリやトカゲ、ヘビたちが住み家を追われ、迷惑そうに逃げ惑う。

 

― 安心するんだ、もう捕獲はしないから…。

 

 

墓掃除をしながら「10年」の話を思い出した。

 

 

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今、こうして大汗をかきながら掃除をしている自分が10年後には、この目の前にある墓に入っていても不思議ではないと思った。

 

10年刻みに過去の出来事を思い返してみると、案外、起伏が激しいものだ。自分の置かれている立場や周りの環境など、10年でガラッと変わることもある。

 

だから、自分の人生なのに、次の10年を予想することは極めてムズカシイ。しかも、そのくせ、あっという間に過ぎ去ってしまう。「時間」というやつはじつにタチが悪い。

 

とはいえ、時間の経過は止められないし、修正もできない。次から次に上書きされていき、だから時に、過ぎた時間を思うとき、「あれは、あの過ぎ去った時間は一体なんだったのだろうか」と茫然とさせられる。

 

 

タイム・フライズ。

 

まったく、どうにかならないものかと思うが、年々、速くなるばかりである。

 

ただ、いくらタイム・フライズといったって、あの日の出来事や、あの時、あの場所に自分や家族、友人たちが存在していた事実までもが消去されることはない。

 

それは、いいことばかりではないし、むしろ、痛みの方が多いのかもしれないが、上書きされていく「時間」とは別のフォルダーに自動保存されていく。

 

フォルダー名は、「心」といって、これまた厄介なものであるが、痛みが多いほど容量が増えるらしい。

 

ここから次の10年。つまりは、「心」次第か…。

 

 

墓を前にすると、不思議と自分と向き合う。

 

いろんな意味で今年の墓掃除は、骨が折れた。

 

 

 
  林 正寛  
     
     

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