越えてはならない一線。
2013/07/09 | ||
「孤独を好む」とまでは言わないが、私はどちらかというと少人数の方が居心地がいい。 交流会や勉強会、酒の席であっても大人数は苦手かもしれない。
群れると集中できないし、どうもパワーが減少するような気がすると、先日も書いたが、今日、書店で手にした本に偶然、似たようなことが書いてあった。 人は集団になると本人は全力を出しているつもりでも無意識のうちに手を抜いてしまうらしいという事。
実験結果があるから面白い。 二人で協力して綱引きをする場合、一人あたり93%まで力が出るが、三人になると85%、八人では49%までしか力が出ない。 まさに「船頭多くして船山に上る」である。 「三人寄れば文殊の知恵」ではないが、仕事も酒も三人程度がもっとも充実した時間を過ごすことができそうである。
こちらは、何人のチームによる研究の成果だろうか。 さまざまな種類の細胞になりうるヒトのiPS細胞から、肝臓のもととなる「小さな肝臓」を作り、マウスの体内で機能させることに世界で初めて成功したと、横浜市立大の谷口英樹教授(再生医学)の研究チームが発表した。
谷口教授らは、ヒトのiPS細胞を肝臓の細胞になる直前の「内胚葉細胞」に成長させ、血管を作る細胞や細胞同士をつなぐ細胞と一緒に培養した。その結果、培養皿の中で細胞が自然に5ミリほどの球状に集まり、血管がある小さな肝臓ができたという。
実感が湧かないというより、にわかに信じがたい。 肝臓ができれば、腎臓も肺も心臓だってできるに違いない。 いずれは病院内にある「内臓センター」みたいなところで、一ついくらかで内臓を買って交換できるような時代がくるのかもしれない。
ギリシャ神話に出てくる王様の「ピグマリオン」は彫刻の女性に恋をし、食事を出したり話しかけたりして彼女が人間になることを信じ祈り続けた。 その姿を見かねた神が彫刻に生命を与え王様の願いを叶えた。
今、人類の進歩は神をも超越しようとしているのか。 越えてはならない一線があると思うが…。
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林 正寛 | ||