胸がドキドキ。

胸がドキドキ。

  2013/07/24  
     
 

家人が「胸がドキドキする」という。不整脈らしい。

 

かかりつけ医で24時間心電図を測定するホルター心電図検査を行った。

 一週間後検査結果を受けて、「紹介状を書くのでこちらでできるだけ早く受診してください」と循環器系の総合病院を紹介された。

 

― 悪いのかな…。

 

思えば、家のこと、子供のことは任せっきりで苦労を掛けている。

私は、会社の倒産や転籍、退職、独立することも、すべて事後報告で済ませてきた。

酔っ払って前後不覚・正体不明で夜中に帰宅したことも数えきれない。

胸がドキドキするような精神的な負担を掛けてきたのは間違いない。

 

総合病院に行き、受付でかかりつけ医から預かった紹介状と検査結果のレポートを渡した。

大きな病院は、待ち時間が長い。この待ち時間が余計に不安な気持ちを大きくさせたりする。

しばらくして看護士に呼ばれたが、そのとき私に向かって「ご家族の方ですか?ご一緒にお入りください」

 

― やはり、かなり悪いのか…。

 

医師曰く、

「私が診たところ、特に問題はないと思います。多少の波の動きはありますが、年齢の経過とともに現れる範囲内のものです。薬も要りません。様子見でいいのではと思います」

 

ただ、実際に自覚症状はあるわけだし、しかも専門用語が多くて分かりにくいので、あれこれ質問してみる。

それでも医師の回答はぶれない。それどころか仕舞いには、

「私はこの分野では世界的に権威があるので、その私が大丈夫というからには大丈夫です」

 

― この人、自分で自分のこと「権威」って言っちゃったよ。人間的に問題があるんじゃなかろうか。

 

その一言で私と家人は、再検査をする決意を固めた。

 

再検査の結果の時も「権威」がでてきて「やっぱり問題ありませんでした」とのたまう。

ただ、「権威」の安堵したような表情がおもしろかった。

疾病名は、「心房期外収縮」と「心室期外収縮」と記載され、経過観察が宣告された。

 

その人の一生の内、心臓が何回鼓動を打つかは決まっているというが、本当だろうか。

たとえその回数が決まっていようとも、手加減はできない。

人は夢や希望、恋愛に胸をときめかせ、困難や悲哀などの逆風にも平然と立つ。

 

「ドキドキ」は生きている証である。

 

 
  林 正寛  
     
     

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