上位の壁。

上位の壁。

  2014/10/01  
     
 

大相撲秋場所は、モンゴル出身の新入幕力士「逸ノ城」が大暴れした。

 

またもやモンゴル出身である。

 

3横綱を筆頭に、幕の内のモンゴル出身者は実に13名を数える。

 

日本相撲協会は、「モンゴル相撲協会日本支部」に名称を変更してはどうか。

 

 

何年かに一度、こうした若手が現れて上位を脅かすが、逸ノ城は、100年ぶりの新入幕優勝が現実のものになる一歩手前まで奮闘した。

 

若手が上位を倒す快進撃は、「判官びいき」に似た感覚で最初のうちは小気味いいが、2大関を倒したくらいのときから観客の顔色が変わり、1横綱を倒した時には、応援の声が悲鳴に変わっていた。

 

横綱白鵬との事実上の決戦の取り組みは、私もわざわざクルマを停めてテレビを見入ってしまったが、白鵬が勝った瞬間は、多くの観客が立ち上がり、安堵の表情で歓声をあげていた。

 

 

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やはり、勝ち過ぎはいけませんねぇ。なんでも「ほどほど」がよろしい。

 

「僅かに届かず惜しかった」くらいの方が、本人のためにもなる。

 

相撲に限った話ではないが、新人と呼ばれるような若いうちに大活躍をしたり、「史上初」みたいなものを記録した人は、案外後が続かない。

 

勝って兜の緒はなかなか締まらないし、どうしても「なんだ、この程度か」と、高を括ってしまうのだろう。

 

「上位の壁」は、それだけ厚いし、プロの世界は甘くないということだ。

 

 

 

ちょうど7年前の秋場所、新入幕で大活躍した若手日本人力士がいた。

 

11日目で10勝1敗と単独トップに立ち、新入幕力士としては、95年以来の横綱戦が組まれるほどであった。

 

しかし、その力士はその後、「上位の壁」に苦しみ、野球賭博問題では、賭博開帳図利容疑で書類送検される痛みも味わったが、今年7月の名古屋場所後に大関に昇進した。四股名を「豪栄道」という。

 

この秋場所は新大関として土俵に上がったが、新入幕の逸ノ城にぶん投げられて惨敗し、千秋楽になってようやく8勝目をあげるという散々たる成績だった。

 

本人が一番悔しい思いをしているはずである。

 

来場所こそは上位の壁となり、甘くないプロの世界を見せてもらおうじゃないか。

 

 

 
  林 正寛  
     
     

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