私のようなオールドファンからすれば、同じファンだとは思われたくないし、第一、そんな行動をする人はまず、ファンではなく、ただの目立ちたがり屋なんだろう。

全国に向かって、関西の阪神タイガースファンはアホだと宣伝しているようなものである。

2003年の優勝の時は、実に5,300人ほどが飛び込んだという道頓堀川。

当時、うち1名は、道頓堀川から三途の川へ流されてついに戻らず、黄色のメガホンを持ったままあの世へ行ってしまっているが、そんなことを知ってか知らずか、今回もまた、50人ほどが飛び込んだという。

道頓堀川沿いはずいぶんと整備され、きれいになったが、川そのものはどうだろう。

以前は、川底にヘドロが1メートルほど堆積し、大腸菌の数は、海水浴場の不適水準の18倍以上といわれていたが、今でもそう変わりはないだろう。

2003年に優勝するまでの17年間は、最下位10度（4年連続1度、2年連続3度）、5位2度という惨憺たる成績だったので、優勝の喜びも格別であったが、だからといって5,300人もの人が道頓堀川へ飛び込むだろうか。

喜びを表現する方法としては明らかに間違っているし、集団の怖さだろう。個人ベースの歯止めが利かなくなる。

今回道頓堀川に飛び込んだ50人は、なにが嬉しかったのだろうか。

私のようなオールドファンは、たぶん共通の思いだろうが、日本シリーズに進出する喜びではなく、単純に巨人に勝った喜びの方が優先する。

そしてオールドファンは、この時期まで阪神の試合が見られるというこれまた至極単純な喜びだけで日本シリーズを迎えるのである。勝ち負けはすでに関係がない。

選手のご家族は、例年なら今ごろの時期に行っている温泉旅行をキャンセルし、旦那の残業が終わるのを待ちわびていることだろうが、今年はもう少しだけ楽しませてもらう。

甲子園の銀傘にこだまする六甲おろしは格別である。