この惑星の勝ち方。
2013/06/04 | ||
「個別労働紛争解決制度」における2012年度の労働相談の内、パワーハラスメントにあたる「いじめ・嫌がらせ」が51,670件と過去最多となった(厚生労働省)。
― 何かの間違いじゃないの。ちょっと数字が多すぎやしないか…。
年間51,670件の相談ということは、土日祝日を除く相談窓口の稼働日数は年間240日位だとすると、一日辺りの相談件数は215件の計算となり、電話の場合、鳴りっぱなしということになる。 相談という行動を起こせない人もいるだろうから、予備軍も入れると大変な数である。
相談内容の濃淡はあれども、これだけの件数が職場で意思疎通を欠いているのだ。この状態で企業の業績はアップするのだろうか。 こんなところにアベノミクスの弱点が隠れているのかもしれない…。
日本企業が組織内で有する経験やノウハウ、または、コツや勘といったものは、OJTはもとより、業務外の酒宴の場などでの濃密なコミュニケーションによる皮膚感覚で代々継承されてきた。
ところが、時代を経て、事業合併や人員削減、コスト省力化、IT化、非正規社員増加等、雇用慣行の変化などが急激に進み、マニュアル偏重主義や成果主義と共にコミュニケーションの場が確実に失われている。
こうした企業風土の変化とパワハラの増加は密接な関係にあるように思える。
成果主義が悪いとは言わないが、勝ち負けにこだわってばかりいるから殺伐としてしまい、上司は部下を育てようとする心の余裕がなくなってしまっているのではないか。
やはり、そこはたまには酒でも飲みながら、それぞれが「未知との遭遇」を果たしてみれば、なにかが変わるかもしれない。
「はじめに言葉ありき」だ。 価値観は違っても同じ人間同士、ロマンはあるだろう。
宇宙人ジョーンズも言っていたじゃないですか。 「この惑星の住人は、誰もが勝利者になれるわけではない。ただ、この惑星には、愛されるという勝ち方もある」
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林 正寛 | ||