息子に。
2013/06/19 | ||
小学6年生の長男が今年から塾に通い始めた。 自分から行くと言い出したので、これは芽があるかと思い、すぐにGOサインを出した。
しばらく様子を見ていたが、彼は学校でもそうだが、塾でも結局は同じで、興味があるのは授業の中身ではなく、教師の身振りや授業の進め方、説明の仕方、マルの付け方などなのである。 もっと細かいところでは、教師がどこのメーカーの赤ペンを使っているのかとか、そんなところに注目しながら授業を受けている。
こいつは自分の子に間違いないと確信する。 血液型もAB型で同じということもあるのだろうか、視点が自分とよく似ているような気がする。 世間的には少し変わっているかもしれないが…。
私が小学生の頃、教師が本を朗読するのを聞いて、一番イメージに残ったシーンを絵にするといった授業があった。 本のタイトルは忘れてしまったが、私が描いたのは、夜空に向かい主人公の少年が梯子で昇っていくシーン。
私は夜空を「青色」の絵の具で塗りつぶした。夜のシーンではあったが、イメージしたのは「晴天」に昇っていく鮮やかなロケーションと少年の笑顔であった。 ほぼできあがったところで教師が絵を覗き込み、
「ハヤシくん、それはちょっとおかしい。夜空は黒でしょ」
― 知ってる…。
別の授業で、今度はカブト虫を描きましょうと。 私は幼いころ、昆虫が大好きだったので、意気揚々と描いた。 七色、そう、私が描いたカブト虫はレインボーに輝いていた。 ほぼできあがったところで教師が、
「ハヤシくん、それはちょっとおかしい。カブト虫はこげ茶でしょ」
― わかってるから、自由に描かせてくれ…。
長男が学校から持ち帰ってきた植物の描写は、「葉っぱ」が七色に輝いていたので聞いてみた。
「なんだ、この葉っぱは。どうして七色なんだ」 「別にいいじゃん。そう描きたかっただけだから」
― そういうところ、いいナ…。
先日、家での夕食後、長男がいきなり漢字を書き始め、「読み方」を言いなさいと、問題を出してきた。
「小雨、霧雨、小糠雨、豪雨、驟雨、群雨、霖雨、飛雨、日向雨、私雨、春雨、梅雨、五月雨、夕立、時雨、氷雨」
雨が好きなのだろうか。 ならば君に贈ろう、「雨だれ石を穿つ」と。
どんなに微力でも、根気よく努力を続けることだ。いつか得られるものがあるはずだ。 君には七色に輝く未来が待っている。
|
||
林 正寛 | ||