ジェイソン。

ジェイソン。

  2013/06/13  
     
 

今はスキル本の全盛期だろう。

ビジネスパーソンのための問題解決の全体観を読むためには」とか、「自分の考えを効果的に伝える方法」など…。

 

ビジネスパーソンだか、ジェイソンだか知らないが、なにが言いたいのか、ちょっとよくわからない。もっともらしいことは書かれてあるけれど、実践できるようなことは何一つ書かれていない。

「あなたもすぐに億万長者」みたいなタイトルで興味をひいておいて、内容に乏しい雑誌もある。

 

「ハヤシさん、こんな雑誌に飛びついて、わざわざお金を払って買う人の顔が見てみたいですよね」

 

「……(買ってしまった)」

 

この前立ち読みした本にこう書いてあった。

「できるビジネスパーソンは、ホテルの中にあるような高級なカフェを利用している」

理由は、100円とか200円とかでコーヒーを提供しているヒトで溢れた店では、「いい考え」が浮かばない。高級カフェでソファーにもたれ、静かな環境で音楽でも聞きながらゆったりと過ごせば、「脳が活性化」して「いい考え」が浮かぶということらしい。

 

― そうか、それで私はできるビジネスパーソンになれず、ジェイソンみたいなびっくり人生になってしまったのか…。

 

だとすると、世の中、ジェイソンだらけになってしまうではないか。

 

高級カフェはともかく、私は、つまらん雑誌やスキル本を読む時間があるなら、読書をすればいいと思う。例えば、城山三郎の自伝・評伝の類いや司馬遼太郎の時代小説もなんかもお勧めである。

 

親とは、姉弟とは、生きるとは、死ぬとは、仕事とは、恋愛とは…。

読書をしても、答案用紙に書けるような「答え」は見つからないが、読み進んでいくうちに、または、何度も繰り返し読んでいくうちに、「何か」が心に蓄積されていく。 

 

そして、そうやって蓄積されたものが、様々な場面で、その人の生きる姿勢や品格、言葉となってあらわれてくるのである。

 

「とてもジェイソンの言葉とは思えませんね」

 

― そうかい?ジェイソンのように何度も蘇生してきたから分かるのさ。

 

なんてな。

 

  

 
  林 正寛  
     
     

株式会社アスキット・プラス

 

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