お初と徳兵衛。

お初と徳兵衛。

  2013/06/08  
     
 

仕事で「梅田」に出るときは、天候が良ければ、約15分、歩く。

時間の余裕があるときは、「梅田」にほど近いところにある「露天神社」にお参りする。

「お初天神」という方が馴染みがあるだろうか。

 

1703年(元禄16年)、堂島新地天満屋の遊女・お初と内本町平野屋の手代・徳兵衛が、現世での悲恋に満ちた最期をとげた事件現場である。

これを題材にしたものが、ご存知、近松門左衛門の「曽根崎心中」。

「露天神社」は、今では、深く愛し合った「お初と徳兵衛」にあやかり、恋の成就を願って多くの男女が参拝する。

御利益があるかどうかはわからない…。

 

ところで、そもそも徳兵衛は、叔父に返済しなければならないお金をやっとの思いで継母から取り返したにもかかわらず、友人にお金が必要だとせがまれ、3日限りの約束でそのお金を貸してしまい、騙し取られている。

そのため、叔父に横領の罪を着せられた徳兵衛は、身の潔白を死んで証明しようと思い、死の覚悟をするわけである。

つまり、お初は道連れに近い。

 

だから、最期に及んで徳兵衛は、愛するお初の命をわが手で奪うことに躊躇するが、それをお初は「徳兵衛さん、はやく、はやく」と励まし、事に及んでいる。

 

「未来成仏うたがひなき恋の手本となりにけり」

あれから310年。

命がけで恋を全うした二人はとかく美しく語られるが、そもそもの原因は、徳兵衛のうっかりにあり、徳兵衛が騙されてさえいなければ死なずに済んだのではないか。

 

うっかり者の徳兵衛に、しっかり者のお初。

なんとなく、夫婦の関係が想像できてしまう。

徳兵衛さんは無事だろうか…。

 

  

 
  林 正寛  
     
     

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