守っていかなければならないもの。

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守っていかなければならないもの。

  2013/06/26  
     
 

世界遺産とは、「顕著な普遍的価値」を持つ遺跡・自然・景観などの物件で、人類が共有すべき財産として保護し、後世に伝えていくために世界遺産条約に基づいて世界遺産リストに登録される。

 

 

で、今回、富士山と三保松原の世界文化遺産への登録が決まった。

 

― めでたいか・・・?

 

「そりゃあ、めでたいに決まってるだろう。日本を代表する「富士山」の文化的価値が世界に認められたのだから」

 

― 日本最高峰として古くから信仰の対象にもなっている「富士山」の価値が世界にわかるのかね。

 

「文化的つながりの深い三保松原と共に、素晴らしい景観を世界のヒトにも見てもらいたいじゃないか」

 

― 後世に伝えるためになぜ、世界遺産リストに登録しなければならんのか。できればそっと今のまま、静かに見守っていきたかったけどナ…。

 

 

我がふるさと島根県にも世界遺産がある。島根県大田市にある石見銀山が世界遺産に登録されたのは2007年。

 

夜になると「天狗」でも出てくるんじゃないかと思うくらいの「田舎」である。

日本でもマイナーな島根県の、その中でもさらにマイナーな石見地方にあったものが世界遺産に登録されたのには、正直、かなり驚いた。

 

石見銀山の近隣には、風光明媚な観光スポットが割とたくさんあり、温泉もあるので、「田舎」ではあるが、1年を通して観光客は意外と多い。

そこに石見銀山の世界遺産登録である。

 

当時は、全国から観光客がドッと押し寄せた。いや、殺到した。

しかもアクセスはクルマしかないので、「田舎」の細い曲がりくねった山道はクルマで溢れかえり、「天狗」は山に帰ってしまった。

 

地元は、治安悪化や騒音などの観光公害に直面してしまい、急遽、車両の乗り入れ制限や駐車場の整備を行ったが、今度は観光客が減少してしまった。

今でも地元は、観光振興と地域生活のバランスに苦悩している。

 

他の世界遺産の事情はわからないが、押しなべて同じような問題を抱えているのではないだろうか。

 

元々、「富士山」は登山客のゴミのポイ捨てが問題になっていたように記憶する。

今回の世界遺産登録で観光客は大幅に増え、環境破壊などの観光公害にさらされるのは目に見えている。

 

「顕著な普遍的価値」や「人類共有の財産」と思われるようなものであれば、わざわざ登録などしなくとも、所在する国や地域が粛々と守っていけばいい。

 

登録してでも後世に残し、風化させてはならないものは、戦争のことや大規模自然災害のことなどのむしろ「苦難の遺産」の方ではないだろうか。

 

我が第二のふるさと岡山市が1945629日に米軍のB29による空襲を受けてから68年。

私設の岡山空襲資料センターは、開設から13年が経過し存立の危機に瀕している。

今と将来の「平和」をキープするのためにも守っていかなければならないと思うが…。

 

  

 
  林 正寛  
     
     

株式会社アスキット・プラス

 

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