天使が降りる場所。
2013/06/12 | ||
私は家でよく靴を磨く。 靴が汚れていると、どうにも気になって仕方がないし、綺麗にしておく方がなにかと都合がいい。
ただ、ここ最近、リムーバーを切らしていた。 革靴は、リムーバーで汚れを落とさずに上からクリームを塗っていると、その内ひび割れなどが発生する。
そのことを知っていたのに、リムーバーひとつ買いに行くのを面倒臭がって、「まぁ、大丈夫だろう」と根拠のない甘い判断の下、しばらくリムーバーを抜いていたら案の定、表面が細かくひび割れてきた。 こうなると、修復は難しい。磨いたその時は、光沢は出るが、すぐにくすんだ感じになって輝きが失われる。
誰かに言われた。 「手を抜くと必ずそれが形になって現れる」と。
毎日の挨拶やお礼、お詫び、部屋の整理整頓など、生活をしていく上での「基本」は、手を抜いてはいけない。 生活や心の乱れ、人間関係のトラブル、仕事の低迷、健康の低下は、「基本」の手抜きから発生すると、私は確信する。
なんらかのトラブルを抱えていたり、低空飛行をしているヒトの家(部屋)の中は、素晴らしく汚い。当然、心もすさむ。 私はこれまで、そうしたヒトをたくさん見てきた。
生活の再生をめざし、そのきっかけの一つになればと、自宅を売却するために私は乗り込んでいくが、「来るな、寄るな、近づくな、ふざけるな」と怒鳴られることもある。
しかし、夢のマイホームだったかもしれないが、今となっては負の資産でしかない荒れまくった不動産をそのヒトから切り離し、基本に戻れば、局面は必ず変わる。風向きが変わり、幸せの風が吹き込んでくると私は信じて疑わない。
基本に戻るということは、家を片付け、整理整頓に努め、トイレや浴槽をまめに掃除して清潔にしておくことであり、それはつまり、天使が降りる場所を確保してやるということである。
「基本」とは、当たり前のこと。 当たり前のことができていないと、天使は降りてこない。
それだけのことである。
ただ、これが案外、ムズカシイ…。
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林 正寛 | ||