星屑のステージ。

星屑のステージ。

  2014/06/11  
     
 

6位の20才の女性は、「お前に1位はまだ早いと言っていた人を見返すことができずに悔しい」と唇を噛んだ。

 

4位の17才の女性は、「1位になりたかった」と号泣し、「来年は1位になります」と宣言した。

 

2位の21才の女性は、「1位になることしか考えてなかったです」と目に涙を浮かべた。

 

1位になった20才の女性は、「12才から始めて8年。くじけそうになったときもあったけれど、自分を信じ、諦めなくて良かった」と万感胸に迫る思いで嬉し泣きしていた。

 

 

私は、AKBは熱闘甲子園と同じで、予定調和のない部分が若い子たちの共感を呼ぶのだと何度かブログに記載した。

 

高校野球の試合後のインタビュー。

勝って誇らしげなキャプテン。負けて号泣する4番。負けても「それがどうした」と胸を張るエース。そして、懸命に練習して来年もまた、ここ(甲子園)に来ますと声を揃える。

 

順位発表後の彼女たちのスピーチもこれとよく似ている。

 

ひとつしかないピラミッドの頂点をめざす戦い。20才そこそこの女性が大したものだと感心する。

 

 

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しかし問題は、スポットライトを浴びるステージとは反対側、つまり観客席側であるが、そこで無数に揺れ続けるペンライトの空間がある。

 

おそらくステージに立てば、まるで暗い夜空に広がる「星屑」のように見えるのだろうが、先日のテレビでは、横なぐりの風雨の中で浮かび上がろうと必死にうごめく奈落の底の集団のようにも見えて怖かった。

 

AKBが共感を得られる理由を述べておきながら、梯子を外すようで悪いが、ペンライトの集団には、「君たちはもっと他にやることはないのか」とどうしても思ってしまう。

 

1位をめざしステージで懸命に踊って歌う彼女たちに、いい大人の男がズブ濡れになりながらペンライトを振っているというのは、どうも釈然としない。

 

 

「高校野球と同じだからいいじゃないですか」

 

個々は同じでも全体の構成はまるで別物なので、そこを間違えてはならない。

 

高校野球に筋書きはないが、AKBのステージは筋書きのあるショーである。

 

リハーサルがあるかないかの違いだと言えば分かりやすいか。

 

高校球児は、「ファンのみなさんのおかげです」とスタンドに向かって手を振らないが、AKBはメンバー全員がそれをする。

 

「商売」する側にとってファンとはどういうものであるか。そこをきちんと理解したうえでペンライトを振っていれば問題はないが…。

 

 

わかっていると思うけど、AKBは“君に”「会いたかった」わけではないから。

 

フライングゲットは歌だけにしよう。

 

 

 
  林 正寛  
     
     

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