雨の御堂筋。

雨の御堂筋。

  2014/06/24  
     
 

小ぬか雨が降る御堂筋を、淀屋橋から歩いた。

 

欧陽菲菲が歌った「雨の御堂筋」は、「あなた」をしのんで、雨の中を泣きながら、傘もささずにひとりで南へ歩くセッティングであるが、御堂筋には、そんな暗いオンナは似合わない。

 

大阪市内を南北に通るこのメインストリートは、ロケーションが実に美しい。

 

ここの銀杏並木は絶品で、今頃の季節は緑が目に痛いほど鮮やかで、通りを行き来する人の心を和ませる。

 

街中が黄色一色に染まる秋はまた、格別である。

名所に紅葉を見に行かなくても、ここの銀杏だけでも見ごたえがあり、十分、満足できると思うが、褒めすぎだろうか。

 

冬には、クリスマスシーズンに合わせて、光のイルミネーションが美しく、寒い夜だというのに、恋人たちの心を熱くさせる。

 

このごろは、大阪市内も、中之島やグランフロント大阪などカッコいいビジネスエリアが開発され、ビジネスシーンのクオリティが高くなってはきたが、まだまだ御堂筋の格は、他よりも一段高く、ここで働くことに憧れをいだくビジネスマンは多い。

 

御堂筋に本店なり、支店なりを構える会社は、一流の部類に入るだろう。

 

 

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私が新卒で入社した会社の大阪支店は御堂筋沿いにあり、東京へ転勤するまでの3年をそこで過ごした。

 

大阪支店があった場所にはまったく別の高層ビルが建ち、当時の面影はない。あの頃、前のめりの青二才だった私には、銀杏並木を見上げる余裕もなかったが…。

 

 

もし、会社がつぶれなければ、今頃私はどんな境遇にいるのだろかと、つまらぬことを思わなくもない。

 

せいぜい総務部長といったところか。もっぱらの仕事は、女性社員の制服のデザインを考えることで、カラダつきもかなりメタボリックな感じかもしれない。

 

「たら」とか「れば」とか詮の無い話ではあるが、真っ直ぐ南へ伸びる御堂筋を見ていると、どこで人生の岐路があったのだろうかと、考えさせられる。

 

そんなものがどこにあるのかわかれば苦労はしないが…。

 

 

欧陽菲菲の「雨の御堂筋」に登場する「あなた」は、人生の岐路そのものだったのかもしれない。

 

 

♪~

あなた… あなたはどこよ

あなたをたずねて 南へ歩く

 

 

 

私ももう少し、南へ歩いてみようか。

 

人生の岐路は、とうに通り越したとは思うが、また、別のなにかが見つかるかもしれない。

 

 

 
  林 正寛  
     
     

株式会社アスキット・プラス

 

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