祭りのあと。

祭りのあと。

  2014/06/30  
     
 

彼らが日本を代表し、日の丸を背負って懸命にアウェーの地でピッチを走っているとき、日本国内では何が起きていたか。

 

 

親に養育を見放されて餓死した幼い子の白骨化した遺体が発見された。

 

ストーカー規制法違反で県警の警部が送検された。

 

脱法ハーブを吸った無責任男の前に何の罪のない8人もの人が死傷した。

 

金に目がない政治家のつまらん発言が被災地の人の心を砕いた。

 

都議の品の無いヤジのおかげで国際都市東京は世界中から笑われた。

 

高島市が基準を超えるダイオキシンが検出された煤塵を、数値を隠蔽し7年に渡って神戸市沖の埋め立て処分場に搬入していたことが判明した。

 

いじめ、暴力、殺人、嘘、偽りは数えきれない。

 

そして、東京では大粒のひょうが降った。

 

何かいいことがあったか…。

 

 

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そんな中で、心をひとつに応援できたこと、夢中になれたこと、力不足を痛感し、自分もまた、成長しようと思えたこと、そして何より、日本を代表して懸命に戦ってくれたこと。

 

感謝してもいいんじゃないか。

 

今の今、4年後のことを語ってどうなる、なぜ負けたのかを分析してどうなる、責任を監督に負わせてどうなる。

 

勝手に舞台に上げておいて、思い通りに行かないと梯子をサッと外して叩き落し攻めに転じる。日本人の悪いところだ。

 

あれだけ懸命に戦った選手たちに、笑顔がひとつも無い、沈黙の帰国をさせるとは、一体、サッカー協会はどうなってるんだ。

 

送り出す時のあのジャニーズのコンサートのような壮行会は、なんだったんだ。

 

協会が、マスコミが、スポンサーが、グッズや関連商品の売上げや視聴率アップなどの目的のためにお祭り騒ぎし、盛り上がりに欠けた後始末だけを選手たちに負わせているのではないか。

 

お疲れ様、よく戦ってくれたの声が聞こえてこないのが残念だ。

 

私はサッカーファンではないから、その辺りの「事情」が今回はよくわかった気がする。

 

 

選手たちは実力不足だった。

 

送り出す側もまた、多くのものが不足していた。

 

しかし、世間はそれらを棚に上げて、何事もなかったかのように次の何かを探すのだろう。

 

お祭りの後の静けさ、寂しさを掻き消すために…。

 

 

それだけのような気がする。

 

 

 
  林 正寛  
     
     

株式会社アスキット・プラス

 

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