道程。

道程。

  2014/04/12  
     
 

日本ハムの投手、斎藤佑樹が苦しんでいる。

 

昨年のケガからの復帰を賭けて、4年目を迎えた今シーズン。

2試合投げたが結果が出ない。しかも、その内容が極めてよろしくない。

 

もともと球速がある方ではなく、制球力で勝負するタイプではあるが、球にまったく力がこもっていない。

 

肩の具合が悪いのか、それとももっと違うところを故障しているのではないかと思うほど内容が悪い。

 

先日の楽天戦で先発し、2回持たずに降板させられてベンチに退いたあと、やや放心したような表情で力なく座っていたのが気になる。

 

 

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斎藤は、1年目こそ6勝6敗で新人としてはまずまずの成績を残したが、2年目は5勝8敗、3年目の昨年は故障の影響で0勝1敗。

 

2012年6月以来、約2年勝ちがない。

 

高校時代、マウンド上で汗をハンカチで拭う甘いマスクの斎藤は、ハンカチ王子と呼ばれながらも実績を残し、大学野球時代も「持っている男」と言われて数字を残してきた。

 

野村克也氏は以前、斎藤の礼儀正しさと精神力に感心し、骨のあるピッチャーと評している。

 

 

しかし、いくら「持っている男」でも、周囲がこれだけ持ち上げるだけ持ち上げてしまえば、落ちるのはむしろ必然だろう。

 

対戦するバッターは打てばニュースになるし、プロをなめるなよと闘志を燃やす。

 

相手ピッチャーも斎藤には負けたくないと、いつも以上の力を発揮する。

 

コーチ陣は、注目選手の投球フォームに注文を付けたがるので、いまだに投球フォームすら固まらない。

 

ベンチでも浮いてるのかもしれない。

 

斎藤はとてもクレバーな頭脳の持ち主なので、自分が持ち上げられていることは客観視できているだろうから、その意味からすると、ここまでよくがんばったと思う。

 

 

しかし、道は自分で切り開くしかない。

それは、サラリーマンでも他の職業でも同じことである。

 

仕事は思い通りにいかないものだし、憂鬱じゃない仕事などない。

 

頭を抱えながら、眠れない夜をいく晩も過ごしながら、自問自答を繰り返しながら、ふと振り返ると道ができていることに気付き、ああ、少し前進したんだと、ようやく自覚できる。

 

仕事とは、そんなものなんじゃないか。

 

次の1勝ほど大きな意味を持つ1勝はないだろう。

プロのピッチャーとしても人間・斎藤佑樹としても。

 

 

僕の前に道はない 僕の後ろに道はできる

 

 

1勝の道程は果てしなく遠くても、自分で取りにいくしかない。

 

 
  林 正寛  
     
     

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