まだの人は試してみて。
2014/04/17 | ||
この前テレビを見ていると、ある洗濯洗剤のCMが目に留まった。
女性タレントがコンサート会場に現れて、「ありがとう、ついに1億個突破!」と観客に向かって手を振る。
そして、「まだの人は試してみて。もし、ニオイ汚れ落ちに満足できなければ全額返金!」と宣言する。
― 全額返金とは、また大胆だな。
聞けば1ヶ月ほど以前からこのCMを流しているらしい。
増税前に合わせてキャンペーンをスタートさせたのだろう。
一方、スーパーの西友も、4月1日から同じ作戦(サービスともいう…)を始めた。
野菜や肉、魚介類の生鮮食料品で顧客が満足しなければ全額返金するという。
西友の生鮮食品カテゴリーは、標準店舗で2,000品目以上。このすべてが対象となる。
全部食べ終わってから「これ、もう一つでした。満足できません」とレシートを持っていけば、名前や住所、理由など細かいことは一切聞かれない。
かなり大胆な作戦(サービスか)であるが、返金リスクを冒してまでの勝算は十分ある。
まず、顧客心理としては、企業の商品に対する自信を感じ取り、信頼や安心を植え付けられ、「じゃあ、買ってみようかしら」の初動を誘われる(CMに出演しているタレントの好感度も影響するけど)。
そこで万が一、不満を感じたとする。洗濯洗剤の場合、専用用紙に必要事項を記入し、アンケートに答えた上で、段ボール箱に商品がぐらつかないよう収納して返品しなければならない。
この作業はかなり面倒臭いので、この行動を起こす絶対数は限られているとみる。
西友の場合は返品の必要が無いので、一時的な返金リスクは高くなるかもしれない。もしかすると、悪意をもって返金を要求する人もいるだろう。
しかし、そもそも商品単価がそれほど高いわけではないため、返金の行動を起こす面倒臭さは顧客について回る。
しかも、西友は、顧客にとっては日常的に「買い物」をするために利用しなければならない施設である。 そんな日常化している場所でクレームの対価として返金を受け続けることは、なんとなく後ろめたい。悪意をもって返金を要求する場合はなおさらである。
この全額返金作戦は、人間の心理を上手く突いているといえる。
返金は続かないし、あってもわずかしかない。むしろ、信頼を裏付けとして売上げが増加するという読みであろう。
もちろん、商品に自信がないとできないけど。
まだの人は試してみて!
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林 正寛 | ||