うっかりでは済まされない。
2014/04/08 | ||
先週の金曜日、飲みに出かけると、街中に人が溢れていた。
食事を終えて二次会の店に向かうときなどは、まるで祭りか初詣の人混みを分け入って歩いているようだった。
街は確かに景気回復マインドで盛り上がっているように見える。 ベアもあったであろうし、久々に新入社員を受け入れることができた企業もあるだろう。 桜の満開だ。
この晩は、少し早めに切り上げたので、まだ終電まで時間がある。 飲みに出て電車で帰ることなど滅多にないが、この日は駅まで歩くことにした。
終電の駅のホームは、酔客で溢れている。
調子に乗って大騒ぎしている新入社員、景気に浮かれたかのような中堅社員、夜桜見物帰りの花より団子の年配グループ。
わいわい、がやがや、ふらふら、危なっかしくて仕方がない。 最近、酔ってホームから転落する事故が増えているようであるが、景気や陽気との因果関係があるのかもしれない。
昨日、前職時代の先輩を酒に誘おうと電話をした。 年は私よりも7才くらい上で、すでに別の会社に転職され、景気も陽気も関係のないところで悠々と毎日を送っている。
「もしもし…!?」
「あれっ?ハヤシですが、どうしました?」
「あ、あー、ハヤシさんか、いや、別になにもないが」
スマホには私の番号は登録されているはずなのに、このおかしな電話の出方でピンときた。
「スマホ、なくしたんでしょ」
「おー、そうなんや。壊れてしまってな。電話登録が無くなって不便しとる」
「なくしたんじゃなくて壊れたんですか」
「恥ずかしい話、酔ってスマホ見ながら歩いてたら転んでしまって、そのときスマホを地面に打ちつけて壊してしまったらしい」
「どこで?」
「梅田で」
「梅田のどこで?」
「東梅田駅のホームで」
「カラダは大丈夫だったんですか」
「いや、実は意識を失って、気が付いたら病院だった」
「転んで意識を失ったんですか?」
「転んだはずみで頭を打って、たいそう出血した。もう少しでホームから転落するところだったらしい。今、家人から禁酒令が出とる。しばらく飲みに行けそうにない」
― そりゃそうだろう、ハハハ…。
酔ってうっかり命を落とす事なかれ。 ながらスマホにご注意を…。
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林 正寛 | ||