あきらめ。

あきらめ。

  2014/04/23  
     
 

不動産を売却する場合、今はネット広告が主流であり、これで売却はほぼ決まる。

 

ただ、たまにネットと併行してチラシ広告を行うことがある。

 

うちの会社は法律事務所からの依頼を常としているので、一つのエリアで新聞の折り込み広告が出せるほどたくさんの不動産情報を一度に扱っているわけではない。

だからチラシは自分でパソコンを使って一物件ごとに作成し、物件周辺の住宅のポストへ配布して回る。

 

マンションの場合、1階にある郵便の集合ポストに入れてしまうと、近くに置いてある不要チラシ用の段ボール箱に捨てられてしまい、即、ゴミと化してしまうので、チラシを見てもらう確率をちょっとでも上げるために1軒1軒、ドアポストに入れていくのだが、これが結構、骨が折れる。

 

最後の方になるとくたびれてしまい、かといって持って出たチラシを会社に持って帰るのも嫌なので、つい集合ポストへ入れて済ましてしまう。

 

忍耐力、低すぎ…。

 

 

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経済協力開発機構が各国の15歳を対象に2012年に実施した「忍耐力」についてのアンケート。参加した44カ国・地域で日本は最下位だった。

 

質問項目は、「困難な問題に直面するとすぐにあきらめる」、「難しい問題は後回しにする」、「すべてが完璧になるまで課題をやり続ける」などである。

 

すぐに答えが見つかり、欲しい情報があっという間に手に入るインターネットの影響だろうか。だとすると、日本特有の問題ではないのだけれど。

 

明治末期の1911年、夏目漱石は講演で、機械化が進む文明発達の根源には「人間の横着心がある」と語っているが、横着心は当然、人から忍耐力を奪う。

 

忍耐力の低下は、学習面はもちろん、社会や人とのつながり、国同士の関係性にまで及ぶ大きな問題である。

 

人類は大きな自己犠牲を払いながら肥大化していっているのかもしれない。

 

 

 

つい先日のこと。チラシを集合ポストへねじ込んでいた。

 

「おりゃ、おりゃ、こんにゃろ…」

 

「コラッ、ピンクチラシを入れたらアカンやろ」

 

管理人のおっちゃんが私の顔を見るなり怒鳴ってきた。

 

― 顔で判断するなよ…。

 

「マンションのチラシです」

 

「いかがわしいチラシやろ」

 

「中古マンションのチラシだって。ほらぁ」

 

「うわっ、いかがわしい。早よ、行って!」

 

「……」

 

 

 

私の顔は風俗系なのか。

 

私が作ったこのチラシはそんなにいかがわしいか。

 

 

困難な問題に直面してしまった。

 

 

どうする?

 

 

 

あきらめよ…。

 

 
  林 正寛  
     
     

株式会社アスキット・プラス

 

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