メンツ。
それは「メンツ(面子)」若しくは、「顔」であるが、普段、私たちが「メンツ」を使うことはあま
り無いように思う。
誰しもが、世間体や体裁というものはもっているにしても、せいぜい使うのは、「顔」。
世間に対しそれなりの立場にあると自ら認識している人じゃないと、「メンツ」はなかなか持ち出さ
ない。
だから検察は、「検察のメンツ」などと世間から比喩されるのだろう。
袴田事件の再審請求審。検察側からのまさかの即時抗告であるが、これも「メンツ」の重みだろうか。
これでまた、再審の入口で足踏みをしたまま、高裁、最高裁と時間をかけた審理が続くことになるが、
DNA鑑定の評価がどうたらこうたらと、いたずらに審理を長引かせるだけである。
速やかに、最新裁判の場に移ればいいのにと思うが、それがなぜできない。
「耐え難いほど正義に反する」との地裁の判断は、「メンツ」の前ではこうも軽いのか。
「正義」の意味すらわからなくなる。
謎の8億円で熊手を買ったあの人も「メンツ」と戦っているのだろうか。
党の最高顧問から、「国民の代表に対する不満を招き、党に対する不信感が広がった」として、代表
辞任を要請されたが、否定した。
最高顧問は、「一旦、退き、党内調査で違法性が無い、つまりシロだとはっきりすれば、また、復帰
すればいい」と説得したらしい。
党の代表たる者が、これではあまりにも軽すぎやしないかとも思うが、党の最高顧問とすれば、こう
することで最低限の「メンツ」を確保できると考えたかどうか…。
「メンツ」とは、「持っている人」にとっては、実に厄介なものである。
ところで、最近は安倍さんばかりが目立ち、他の政治家の影が薄い。
野党に至っては、党内の結束を確保するだけでエネルギーを使い果たしているといった感じで、烏合
の衆の感がなくもない。
こちらは明らかに、「メンツ」が足らない。
林 正寛