ざわちん。
2014/05/17 | ||
バラエティ番組にマスクをした女性がゲストで出ていた。
「なんでこの子はテレビに出るのにマスクをしているんだ」
家人が、「この人、“ざわちん”よ」
「なんだ、その、“ザワチン”というのは」
「“ざわちん”です。メイクで顔マネする人で、口元だけはいつもマスクで隠しているの」
画像で顔マネがいくつか紹介されていたが、滝川クリステルや浅田真央など実によく似ている。板野友美なんて瓜二つだ。
― メイクでこうも変わるのか…。絶句だナ。
「で、今は誰の顔マネをしているんだ」
「今は“ざわちん”本人じゃないのかしら」
こうもいろんな人の顔マネメイクをしていると、どれがホントの自分かわからなくなったりして。
“ざわちん”で思い出したが、この前、朝の通勤電車でのこと。
途中で乗ってきた女子高校生が冴えない。眠たいのか、なんだかボーっとした顔をして、髪の毛も乱れ気味で、ブラシ一つ通していないのがわかる。
勉強やクラブで疲れているのかもしれないが、もう少し小ぎれいにできないものかと思っていたら、カバンから化粧ポーチを出してきて、せっせと化粧が始まった。しかも立ったままで。
アイプチして、アイラインをひいて、チークをのせて、口紅を塗って。
髪はポニーテールにまとめ、最後はウエストのところでスカートを巻き上げて丈を短くして出来上がり。
― すごい。これも芸のうちだナ。
電車に乗ってきた時とまるで別人になって降りて行った。
これだけBeforeとAfterが違うと男性はどう判断すればいいのだろうか。
「こころ」にはBeforeとAfterは無いとはわかっていても、人はどうしても、見た目の雰囲気という第一印象から入る。これは避けられない事実である。
そこの部分にBeforeとAfterが横たわってしまうと、実に厄介である。
見た目も「こころ」も素顔が一番いいとは思うが、恋も仕事も友達付き合いも、素顔のままが通用するほど世の中はシンプルにはできていない。
それに、素顔の自分は好きになれなかったりする。
せめてメイクやヘアースタイル、服装などで違う自分を演出してみたいと思うのは、男も女も同じだろう。
大ヒット映画のようにはいかないものだ。
♪~ ありのままの姿見せるのよ ありのままの自分になるの なにも怖くない 風よ吹け 少しも寒くないわ
現実はかなり寒い…。
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林 正寛 | ||