日本式。
2014/05/31 | ||
政府の産業競争力会議で時間に縛られない働き方を検討しているという記事を見た。
日本の労働基準法は、労働時間の上限を一日8時間、週40時間と定め、社員が法定労働時間を超えて働くと、会社は残業代という割増賃金を支払わなければならない。
しかし、働き方は時代と共に大きく変化し、給与の算定基準も「時間より成果」の方に軸足が傾いてきている現代においては、職種にもよるだろうが、労働基準法は必ずしも現場の実情と合致しなくなってきている。
そこで導入が検討されているのが、「ホワイトカラーエグゼプション」という類型の給与の支払い方法らしい。発祥は米国。
給与を決める根拠から「労働時間」を一切撤廃した完全成果主義賃金制度である。
残業代、深夜・休日手当はない。その点で裁量労働制やフレックスタイム制とは差別化が図られている。
成果さえ上げれば、労働時間に縛られることなく柔軟に働くことができるが、時間重視で残業代を稼いできた人からすれば反発があるだろう。
しかし、労働時間の長さと成果が必ずしも比例しないケースでは、会社は人件費を抑えることができ、労働の効率アップにつながる。
個人プレーよりも団体の中で強調し合うことを美徳と考え、互いに切磋琢磨しながら上り詰めていくことが大好きな日本の労働文化に根付くかどうか疑問である。
自発的努力を重んじる米国と違い、日本式トレーニングは団体練習が多い。
それは、サボる人や脱落する人に合わせているからである。
自分で考えてできる人には息苦しいが、そうじゃない人には団体の中にいる方が心地いいし、結果として成績も残せる。
日本のプロ野球でりっぱな成績を残して大リーグに移籍したものの、どうもパッとしない選手がいるが、トレーニング方法にも問題があるんじゃないかと考える。
つまり、日本にいるときは団体の中でしっかりとトレーニングができていたが、米国では一人なものだから、どうにも力が入らずサボりがちになり、トレーニングが不足してしまうということである。
本人が気付いていないだけで、「日本式」の良さだってある。
米国発祥の制度をそのまま導入しても、日本の良さを潰してしまいかねない。
会社にとって収益効率がよく、働き手に取ってはたらきがいのある労働のあり方とは何か。
あくまでも「日本式」をベースに考えなければ本末が転倒してしまうと思うが…。
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林 正寛 | ||