「鳥貴族」280円均一の功罪Ⅱ。
2014/07/10 | ||
2013年1月5日のブログ『焼鳥チェーン店「鳥貴族」280円均一の功罪』
↓
「鳥貴族」は、関西、東海、関東に約300店舗を展開する焼鳥チェーン店である。
目標は全国2000店舗らしい。
コンセプトは、全品280円均一の低価格・高価値でお客に感動と驚きを与えること。
そして使命は「外食産業の社会的地位向上」、理念は「世の中を明るくしていくこと」である。
正直いって、冷凍の輸入モノだと勝手に思っていたので、まったく行く気はなかったが、実際は、国産鶏肉を使用し、毎日、一本一本、串打ちしているらしい。
単一業態にこだわることで、質の高い食材の調達力をアップさせ、徹底した管理によりコストダウンを実現させ、メニューを絞り込んでいる。
先日、初めてお店に行ってきた。
店内は、テーブル席や座敷を中心にゆったり目に配置され、メニューは絞り込みされている分、見やすくて選びやすい。
従業員は、元気よくテキパキと動き、待つことなく注文の品がテーブルに届けられる。
コスト削減のため電気グリラーを使用しているせいか、食感は炭火に劣りはするが、味はそう悪くはない。
それになんといっても安い。精算時に提示された金額は、感覚的な予想とは明らかに低く、料金的なお得感もある。
しかし、なぜか胸にぽっかりと空いた穴が埋まらない。
― 満足感の得られない空虚なこの思いは一体なんなんだ?
答えは、焼鳥屋としての臨場感がないことである。
鳥貴族は、学生や子供連れの家族、お酒を飲まない人でも楽しめる、スタイルやオペレーションはファミリーレストランなのだ。
一方、焼鳥屋は本来、大人の世界で赤ちょうちんと同列。
カウンターで、ちまちまと焼き鳥を食べ、吉幾三の「酒よ」なんぞを聞きながら、コップ酒をコクリ。
ひとり、真っ赤に焼けた炭火を見つめながら手酌酒でもいい。
ジュウジュウと鳥が焼け店は煙る。
涙は悲しいからじゃない、煙が目に沁みただけ…。
焼鳥屋に行く以上は、その雰囲気、臨場感も大切だからね。いや、むしろ、その臨場感を求めて行っているのかもしれない。
鳥貴族の営業時間は夕方からの夜間であり、当然、アルコールを扱うので立地条件に制限がある中、チェーン店としてのスケールメリットを得るための店舗数の拡大は並大抵のことではないと思う。
本来の焼鳥屋としての業態から離れたスタイルが、どこまで市場に受け入れられるか疑問である。
それとも、煙が目に沁みる焼鳥屋は時代遅れであり、その存在は遠い昭和の残像なのか。
鳥貴族の今後に注目である。
↓
【結論】 本日、株式会社鳥貴族は、東証ジャスダックに上場しました。
煙が目に沁みる焼鳥屋は時代遅れであり、その存在は遠い昭和の残像でした。
私はこれからも、「昭和の残像」の中で生きるけど、なにか問題でも…。
|
||
林 正寛 | ||