景色。

景色。

  2014/07/30  
     
 

「甲子園にはどうやって行けばいいでしょうか」

 

「そりゃあ君、小さなころからたくさん練習して、人が寝ている間に素振りをして、そして地方の甲子園常連校に野球留学することだな」

 

「……」

 

「あ、それから、野球部の女子マネージャーと恋に落ちて、君にも必ず甲子園の土を踏ませてあげるからとか、君に甲子園の勝利をプレゼントするからとか約束して、自分にプレッシャーをかけて、その後…」

 

「いや、そうじゃなくて甲子園球場までの道順ですけど」

 

「なんだ、それなら阪神電車に乗って甲子園駅を降りれば目の前じゃないか。そんなことはスマホで検索すればすぐに出てくるでしょう」

 

私も何度か甲子園には行ったが、スタンドでビールを飲んでバカ騒ぎするばかりで(それを「応援する」ともいうけど)、グランドには立ったことはない。

 

 

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夏の全国高校野球地方大会もそろそろ佳境に差し掛かってきた。

 

いつも見るユニフォーム、初めて見るユニフォーム、久しぶりに見るユニフォーム。

 

全国から様々なユニフォーム姿の球児たちが甲子園に集う。

 

しかし、甲子園のグランドに立てるのは、地方予選に参加した約4,000校のうちわずかに49校だけである。

 

さらに、相手校との戦いに勝ち、甲子園にひそむ魔物との戦いに勝ち、全国優勝の栄冠を勝ち取るのは1校しかない。

 

 

グランドから見えるのは一体、どんな景色なのだろうか。

 

全国の高校野球チームの頂点に立ったときには、どんな景色が見えるのだろうか。

 

 

自分のしていることが苦労だと思っているうちは幸せになれないなんてことを誰かに言われたことがあるが、積み上げてきた苦労を忘れさせてくれる何かがその先には必ずある。

 

 

頂上をめざして一歩一歩登っていく山登りに似ている。

 

「なぜ山登りをするのか」

「そこに山があるからだ」

 

そんなはずはない。さらにその先、はるか先にあるものを求めているのだろう。

 

 

 

苦労して歩いてきた者にしか見ることのできない景色がある。

 

 

 
  林 正寛  
     
     

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