皮肉なことに。

皮肉なことに。

  2014/07/17  
     
 

大東隆行氏は、不況を乗り切ろうとコスト削減を図るために増やしたセントラルキッチンの食材を廃止し、元のカウンターの目の前でジャージャー調理するオープンキッチンスタイルに戻し、離れたお客を取り戻した。

 

「餃子の王将」である。

 

他にも、各店舗に権限を与え地域性を活かした独自メニューを展開するなどして、学生や家族連れ、ビジネスマンなどの幅広い層からの支持を集めた。

 

しかし、急成長の反動はやってくるものだ。

 

平成21年度をピークに既存店の売り上げは伸び悩んだ。王将フードサービスの連結営業利益は3年連続で減少した。

 

その巻き返しを模索していた昨年12月、大東隆行氏は何者かに射殺された。

 

立役者を失った同社の株価は下落し、業績への影響を懸念する声があちこちから上がった。

 

しかし、「餃子の王将」には追悼のための客が相次ぎ、皮肉なことに、事件後は既存店の前年比売り上げは4ヶ月連続で増加し、今年3月期の決算では過去最高の売上高となり、11年連続で増収を確保した。

 

 

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中華料理チェーンの「餃子の王将」をデフレ下で急成長させた大東隆行氏が凶弾に倒れた同じ昨年12月に、これまた皮肉なことに、和食文化がユネスコの無形文化遺産に登録された。

 

和食の代表食材の「魚」は、誰もが知る健康に良い食材である。

 

サバやイワシ、マグロ、サケなどに含む脂肪酸は、血液をサラサラにする。

 

肝臓がんの発症リスクを大きく下げる効果があることもわかっているし、血糖値を下げる働きも持っている。

 

和食は、その美味しさや見た目の美しさだけではなく、こうした病気の予防にもつながることもあって世界中でファンが増えている。

 

しかし、一方で和食を世界に誇る日本の文化だといいながら、皮肉なことに、日本人の魚介類の摂取量は減り続けており、2006年には肉類の摂取量に逆転されているのである。

 

嘆かわしい事態かもしれない。

 

日本人こそ、今あらためて、和食の良さを知るときかもしれない。

 

 

 

「ハヤシさん、今日はどこに行きますか」

 

「この暑さだ。まずは餃子にビールでエネルギー注入でしょ」

 

「お、いいですねぇ」

 

「そのあとは、刺身でも食べながらゆっくりと冷酒だナ」

 

「落ち着きますよね」

 

「最後の締めは生ハムにワインといこう」

 

「結局、全部いくんですね。健康診断の結果が楽しみだわ」

 

「君ね、それは皮肉でしょ。私のブログ読んでくれた?『皮肉なことに。』だから」

 

 

 
  林 正寛  
     
     

株式会社アスキット・プラス

 

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