都合のいいものなどない。

都合のいいものなどない。

  2014/07/26  
     
 

この前、ある人の紹介で、とある会社の代表者の方とお酒を飲む機会があった。

 

私よりは10歳ほど年齢が下で、頭も体もフル回転といった様子。精力的に飲んで食べて、仕事の話をたくさん聞かせていただいた。

 

― 私も10年前はこんな感じだったのか。

 

 

この10年でパワー全開を維持する力が衰えた。

 

夜中まで仕事をし続ける体力がなくなり、頭ではまだ飲みたいと思っていても眠気が先行してしまうことがある。

 

時間は残酷で容赦がない。

 

 

この日は「ハヤシさん、もう1軒いきましょう」と誘われた。

 

初めての方だし、誘われて断るのは義理が悪い。ギアを入れ直して「では、いきましょう」と勇んで席を立とうとした。

 

すると代表者の方が、ちょっと待ってくださいねと、カバンからゴソゴソと小さなポーチを取り出し、その中からあらかじめ小分けにしてあった何種類かのサプリを口に含みお茶で流し込んだ。

 

「なんですか、そりゃあ」

 

「サプリメントですよ」

 

「それは見ればわかるけど、体がどこか悪いんですか」

 

ビタミンCやB、ミネラル、鉄、ニンニク…。説明してもらったけれど忘れてしまったが、全部で9種類。

 

体がどこか悪いわけではなく、栄養補助として人に勧められてサプリメントを飲むようになってからは体調がすこぶるいいらしい。

 

たった今、美味しい食事をし、美味しいお酒を飲み、楽しく会話したばかりなのに、なんの栄養が不足しているんだろ…。

 

 

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日本はアメリカに次ぐサプリメント大量消費国らしい。

 

「朝からパワー全開です!」

「二日酔いにはこれが効んです!」

 

なんてコマーシャルを見ていると試してみたくもなるが、たしかビタミンやミネラルなどのサプリメントには健康増進効果はなかったと、医師か研究者かが発表していたと思うが、勘違いか…。

 

食事で足りているところにさらにサプリメントを摂取すると、むしろ健康を損なう危険性がある。ベータカロチンやビタミンEなどは摂取しすぎると、がんのリスクが高くなる。

 

食の欧米化が背景にあると思うが、魚や大豆、野菜や果物などを適正に摂取していれば、まずサプリメントの出番はないと思うけどね。

 

 

サプリメントはたぶん、最初に飲んだ時になんとなく効果が実感できる仕組みになっているのだろうが、持続はしないんじゃないか。あとは気のせいだろう。

 

 

 

すぐに役に立つものは、すぐに役に立たなくなる。

 

 

そんなに都合のいいものなどあるわけがない。

 

 

 
  林 正寛  
     
     

株式会社アスキット・プラス

 

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