イエデン。
2014/07/03 | ||
朝、現場に向かってクルマを走らせていたら、スマホを家に忘れたことに気が付いた。
― まずい…。引き返せば約束の時間に合わなくなる。
スマホには毎日、相当な件数の電話やメールが入るので、スマホがないと、かなり仕事に影響する。
しかもこの日は、現場で待ち合わせをしている人がいる。 お互い、予定通りの時刻に到着すれば問題はないが、遅れる場合などには連絡手段としてスマホは欠かせない。
取り敢えず、家人に、会社までスマホを持ってきてくれるよう、すぐに電話しなければ。
― あれ? スマホはどこだ…。あ、そうか忘れたんだった…。
腹をくくるしかない。
― しかし、スマホがないとこんなにも不安なものなのか。
会社に戻ると、家人がスマホを持ってきてくれていた。
「スマホを忘れていることを知らせようと思い、あなたのスマホに電話をしそうになりました」
手に私のスマホを持ちながら、私のスマホに電話しようとしたらしい。
暮らしの中で、スマホにどれだけ依存しているかがわかる。
第一、電話番号を覚えられなくなった。
スマホ(携帯)を持つ以前は、どのくらいだろうか、少なくとも数十件の先の電話番号は記憶していたと思うが、今は2~3件といったところか。
あまりかけないものだから、自宅の電話番号でさえ出てこないことがある。
― 技術の進歩と人間の退化だな。
そういえば、少し前に、あるお宅を訪問させていただいき、今後の連絡手段、方法を奥様に確認させていただいたところ、 「うちはイエデンがないので、ケータイにお願いします」
― なんだ、そのイエデンってやつは?
あとで自宅の固定電話のことだと別の機会に誰かに教えてもらったが、たしかにイエデンを設置しない家庭が増えている。
以前であれば、携帯電話の番号は個人情報の色合いが強く、どこか秘密めいていたけれど、今はどんな書類にも記載する欄があって、連絡手段として定着した。
むしろ、イエデンの番号を記載することに軽い抵抗を感じるかもしれない。
誰が名付けたか、「イエデン」
絶滅危惧種かもしれない。
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林 正寛 | ||