【コラム】多重債務者を救え。
2013/01/25 | ||
先日、あるご依頼者の方からお礼の電話がありました。
「林さんに勧められて破産を選択して良かったです。人生が変わりました」
弊社は、自宅の任意売却をお世話させていただくケースが多いのですが、ほとんどの方から相談されるのが、自宅を売却しても残る債務についてです。
住宅ローンだけしか債務がない場合などは、当面、様子見でもいいと思います(残債務の金額や金融機関の数にもよります)が、多重債務状態であれば、私は破産の申立てを勧めます。
もちろん、安易な申立ては避けるべきですし、多重債務に至った原因にもよりますが、自宅を売却するという痛みを伴う責任を果たしたあともなお、多重債務を引きずっていては、人生が楽しくありません。一度、リセットして生活を再生することです。
多重債務に陥っているケースは、相変わらず多いです。
必死に債権者からの督促に耐えて、返済のためにまた別のクレジット会社から借入して返済してと、最悪の自転車操業を繰り返しています。
「守るのは生活であって、返済ではありませんよ。弁護士の先生を紹介しますから、破産をしましょう」
「破産は国が定めた救済措置です。先生から受任通知を送っていただくと督促も止まります。安心して生活してください」
「もしかしたら、払い過ぎの利息が戻ってくるかもしれませんよ」
このように申し上げると、みなさん一様に安心されますが、決まって口にされるのが、「もっと早く知りたかった」です。
「過払い金のことや債務に関することは、あれだけテレビで宣伝しているし、電車もそんな広告だらけじゃないですか」
「いいえ、まったく知らなかったです。とにかく返済せなアカンと、そればっかりです」
少しびっくりするような話ですが、これが現実です。
パソコンを持たず、テレビもあまり見ずに、電車にも乗らない。自宅と会社を車で往復する毎日。
確かに、このような方は情報に触れる機会が少なく、引きこもった狭い自分だけの世界で生きておられます。 冒頭の方もこのパターンでした。
業界では、「クレ・サラバブル」は終わったと言われ、債務に関する広告宣伝も少なくなっていますが、債務に困っておられる方はまだたくさんいます。
一人でも多くの方が笑顔を取り戻せる社会の仕組みづくりに貢献していけたらと思います。
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林 正寛 | ||