【破産管財】仮差押が付着したままの売却②
2017/01/24 | ||
本件は、破産管財事件における中古戸建住宅で、債権者の仮差押登記が付着したまま。しかも、室内には大量の動産類が残されていましたので、このような不動産は本来、不動産事業者向けの売却が適しています。
しかし、この不動産は、新築後まだ4年ほどしか経過していなかったことから、住宅ローンがたっぷりと残っており、不動産事業者向けに売却することを前提とした査定額では、債権者と折り合いが付きませんでした。
結局、債権者の意向が反映された価格で一般の個人ユーザー向けに売却することになり、弊社から業者に依頼して動産類を処分し、室内を掃除して売却活動をスタートさせました。
そして、仮差押ですが、不動産には3件の仮差押が付着していました。 破産手続開始決定により失効した仮差押について、債権者2社については、仮差押の取下げに協力していただきましたが、1社からは協力が得られず、仮差押登記が残されてしまいました。
仮差押は、不動産の売却完了後、破産管財人が裁判所の保全部に対し、所有権移転登記をした全部事項証明書を添付して仮差押登記の抹消嘱託の上申を行えば抹消されます。
しかし、だからといって、一般個人の買主の方を相手に、夢のマイホーム購入に際し、仮差押登記が残った状態のまま、売買代金をお支払いいただき、所有権移転登記手続を進めるのは簡単なことではありません。
買主の方に住宅ローンを融資する金融機関にしても、仮差押登記が残ったまま新たに担保権を設定することになります。保全上の問題はないことはわかっていても、対応はしにくいと思います。実際、本件についても、仮差押登記の事前抹消を融資承認の条件とするところもありました。
仮差押債権者の都合、立場もあるでしょうが、放置した仮差押登記がその後、どれだけ支障を来すことになるかということです。
本日、破産管財事件において、仮差押が付着したままの中古戸建住宅を売却しました。
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林 正寛 | ||