【相続財産管理】鉄道模型の売却。
2015/07/30 | ||
ここ最近担当させていただいた2件の相続財産管理人の事件は、被相続人の方がお住まいをされていたのはそれぞれ、戸建住宅とマンションでしたが、その室内はいずれも大変荒れていました。
戸建住宅の方は建物が古くて一部、天井が抜け落ちていたこともありますが、荒れ方は尋常ではなく、この状態で最近までご高齢の男性の方が一人でお住まいされていたとは、言葉を失います。
相続財産管理人の事件は、被相続人が債務超過の状態にあるため、相続人の方があえて相続を放棄されるものもありますが、これまで何件も見てきた現場は一人暮らしのケースが多く、今回の2件もそうでしたが、荒れ果てた室内には一人暮らしの案件特有の重たい空気が漂っています。
マンションの方は、40代の男性が一人暮らしをされていましたが、鉄道模型のコレクションがお好きだったようで、部屋のあちらこちら、例えば中身が土石流のように流れ出ている押し入れの中、積み上がった雑誌の山の中、ソファーの下などから鉄道模型が出てきます。 何しろ各部屋の床が見えないくらいの散かり様なので、とにかく色々なところから出てきます。
鉄道模型は不思議なことにどれも新品同様で、箱から取り出して飾ったり遊んだりした様子はなく、ほとんどが買ってきたまま放置していたような状態です。 好きならもう少し整理されていてもよさそうなものですが…。
ともかく、この鉄道模型は換価できると判断し、先日、冷房の無いマンションの室内で汗だくになりながら鉄道模型の発掘作業を行いました。
一人で黙々と作業をしていると、ただでさえ重たい空気が余計に重たく感じ、妙に息苦しくなります。だから作業は、意味もなくオーバーアクションで体を動かしたり、アーッだのイエーッだのわけのわからない奇声を発しながら行います。そうでなければ、不意に誰かに肩を叩かれやしないか、得体のしれない大きくて暗くて重たい何かにカラダごと包み込まれるのではないかと不安になります。
50を過ぎたオジサンが何をビビってんのかと笑われるかもしれませんが、この異様な空気感は経験したものでなければわかりません。
結局、質の悪いものは除きましたが、段ボール箱10箱満杯の鉄道模型を室内から運び出し、車に積み込みました。
マンションを引き上げる際、最後にドアを締めカギをカチャリと回した瞬間、室内から「ファ~ン!」と電車の警笛が聞こえたように思いましたが、気のせいでしょうか……。
鉄道模型は思った以上の値で売れました。
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林 正寛 | ||