【一般】企業再生の目的は雇用の確保。
2013/07/11 | ||
今回、ある中小企業の債務免除について、債権者の合意を得て実行することができました。
優良な経営資源を持ちながら過去の過大な債務に苦しむ中小企業はたくさんありますが、これまでのデフレ下において低迷した企業収益は即座に回復するものではありませんし、表面的なリストラではとてもカバーし切れません。
このような場合、MBOの手法を用いた会社分割などの組織再編、または再構築、債務のモラトリアム、場合によっては債務そのものの大幅な免除を実行していかなければ、企業の再生は成し遂げることはできません。
しかし、それには高度な専門知識が必要ですし、しっかりとしたリーガルチェックとタックスプランの下で精度の高い事業計画を立てなければ、最大のステークホルダーである金融機関の協力を得ることはできません。
それと、企業再生の目的、つまり守るべきは、価値のある「事業」と「雇用」ですが、経営者の方はここの考えがブレてはいけません。
私が起業した当初、どこから聞きつけたのか、たくさんの会社経営者の方が相談にいらっしゃいました。
私の前職からすれば、よほど強い味方に思えたのでしょう。
ただ、意外にも社員のことよりも、社長さん個人の資産の守り方、悪く言えば、「上手な隠し方」はないかを尋ねてこられる方が大変多く、とてもガッカリしました。
そんな方にはサッサとお帰りいただきましたが、その後、「お前のおかげで自宅を債権者に奪われた。責任を取れ」とねじ込んでこられた社長さんもおられました。
経営者の資格、資質ゼロですね。消えて当然です。
今回、私が担当した会社は、地域経済の産業活力維持に資する価値の高い事業を保有し、それによって社会の発展に貢献してきましたが、この債務免除によって破たんリスクが回避され、それは同時に社会にとっても大きな損失を免れたことになります。
この会社はこれからも、社会貢献性の高い事業を展開していきながら、雇用の確保・創出を行い、ここで働く人とその家族の生活の維持・向上を図っていくことでしょう。
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林 正寛 | ||