【破産管財】不動産入札手続。
2013/01/23 | ||
不動産や美術品を売却する際に、価格の妥当性や手続きの透明性を担保するために、「入札」という手法をたびたび使います。
弊社は、売主側の仲介会社(幹事会社)として入札案内を作成し、できるだけたくさんの参加者を募ります。
内覧会を実施した後、あらかじめ指定しておいた場所・日時に購入価格などの条件を記載した入札書を提出していただき、即日、開札して最高価買受人を選びます。
ここでポイントになるのが最低売却価格です。
不動産に担保権が設定されている場合、入札手続きについても債権者の承認が必要なときは、最低売却価格を幾らにするかで話し合いをしますが、この価格次第で入札手続きの成否が決まると言っても過言ではありません。
実際にあったケースです。
ある入札対象不動産を査定したところ、私も債権者もおよそ3,000万円で、ほぼ同額。市場性の判断は合致しました。
そこで債権者からは、最低売却価格を3,000万円として、少しでも3,000万円を超える価格で売却したいとの申し出を受けました。
債権者としては当然の申し出でしょうが、私の回答はNo!です。私は最低売却価格は、2,100万円。高くても2,400万円までと主張しました。
入札は心理ゲームの側面があります。参加者は、競り勝って1番になりたいのですが、高値落札を嫌います。
参加者は、市場の価格よりも割安な価格が最低売却価格として設定されていると、価格ないしは入札手続き全体に対する安心感が得られ、また一方で競争心を煽られます。
その結果、落札価格は、3,000万円を超える可能性が高くなります。
しかし、この場合、債権者としては、査定価格よりも低い価格を最低売却価格とすることは、どうしても承認できないとのことでしたので、そのまま3,000万円を最低売却価格として入札手続きを進めました。
結果、入札者ゼロでした。
別のケースですが、債権者が5,000万円を超える価格でないと売却を認めない、入札手続きは「ご勝手にどうぞ」と放置してくれましたので、「勝手に」最低売却価格を3,500万円と設定して手続きを進めました。
結果は、多くの入札がある中、6,200万円で落札されました。
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林 正寛 | ||